人権侵犯救済申告書
要望書(北九州市生活保護行政検証委員会)
北九州市小倉北区福祉事務所長に関する告発状の提出等について
1 告発人について
合計364名および4団体。うち、弁護士34名,司法書士79名、福祉関係者(社会福祉士、精神保健福祉士、福祉施設職員、NPO・支援団体関係者)100名余。ほか、一般個人、研究者、作家の雨宮処凛さん、首都圏青年ユニオン河添誠さん、フリーター全般労組大平正巳さん、しんぐるまざーずふぉーらむ赤石千衣子さんらも名を連ねている。
2 被告発人について
北九州市小倉北区福祉事務所長 菊本誓氏
3 告発事実
⑴ 公務員職権濫用罪(刑法193条)
A 生活保護実施機関の所長として全般的に責任を負う被告発人が
B 生活保護実施機関としての指導助言の権限に仮託して(*生活保護法27条1項参照)、経済的自立の目処が立っていない被害者に、辞退届を書かざるをえないと誤信、これを作成させ、保護を廃止するという違法行為を行い、
C 被害者の生活保護受給権を侵害した
⑵ 保護責任者遺棄致死罪(刑法219条・218条)
A 生活保護実施機関の所長としてその事務全般を掌握し、生活保護受給者が困窮しないよう、保護を継続する責任を負う被告発人が、
B ①被害者男性が、就労可能な状況になく、生活保護を打ち切ればたちまち窮迫する状況にあったにも関わらず、辞退届を作成させて保護を廃止し(*辞退を理由とした保護廃止の要件につき、広島高裁平18.9.27)
②違法な廃止処分を行った以上、当該処分を取り消し、被害者の生命侵害の危険を除去する義務を負っていたにも関わらず、かかる義務を怠って被害者を放置した結果
C 被害者を、身体の一部がミイラ化した状態で餓死するに至らせた
4 適用法条
(1) 刑法193条(公務員職権濫用罪)
公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の懲役又は禁錮に処する。
(2) 刑法219条,218条(保護責任者遺棄致死罪)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する(218条)。
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する(219条)。 *傷害罪:懲役15以下又は罰金50万以下
5 北九州市の生活保護行政について
北九州市は、生活保護行政において、「適正化」名目の下、徹底した保護費削減政策をとっており、その手法は「闇の北九州方式」とも呼ばれる。各種データを参照しても、保護の申請率:全国30.6%に対し北九州市15.8%、保護率:全国は増加傾向にも関わらず北九州市は逓減傾向と際立っており、窓口で保護の申請をさせない(いわゆる水際作戦)、受給中の保護者に指導の名の下に圧力をかけ、保護打ち切りに追い込むなどの事態が報告されている。同市では2005年、2006年と、生活保護申請が認められなかった男性が死亡する事件が発生しており、本件は3年連続の生活保護制度にからむ死亡事件となる。
被害者男性ケースは、同市において「19年度自立重点ケース」と位置付けられ、病状調査の結果「普通就労可」として就労指導が行われ(*なお、根拠とされた病状調査の結果については、被害者の死後、担当医師から、そのような診断を行ったことはなく、精神的にも不安定な状態で、普通の就労ができる状態ではなかった、と抗議がされている)、自立見込についても「6カ月以内」に丸の付けられた個別協議票が3月30日付で係長課長の決裁を受けていた。本件発覚後も、同市は「自立のモデルケースだった」「(本件のような)取り扱いは従前通り」とコメントをしており、被害者男性の死は、組織一体となっての継続的・確信的な運用の結果であることがうかがわれる。
6 特記事項
福岡地方検察庁小倉支部に対する本件刑事告発とともに,福岡地方法務局北九州支局に対して人権侵犯救済申告,北九州市生活保護行政検証委員会に対して要望書の提出,厚生労働省に対する抗議申入書の提出を行った。