生活保護問題対策全国会議

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2007年7月19日
北九州市生活保護行政検証委員会 御中


生活保護問題対策全国会議 代表幹事 尾藤 廣喜
             (連絡先)〒530-0047 大阪市北区西天満3-14-16
                    西天満パークビル3号館7階あかり法律事務所
                    弁護士 小久保 哲郎(事務局長)
                    電話 06-6363-3310 FAX 06-6363-3320


 私たちは、弁護士・司法書士・学者・市民など約130人で構成する、生活保護行政の改善などに取り組む民間団体です(別添資料をご参照ください)。
 検証委員会の委員の皆さまにおかれては、北九州市の生活保護行政に関し、真摯な検証作業を継続されていることに、心から敬意を表します。

 ところで、本年7月10日、北九州市小倉北区において、52歳の独居男性の一部ミイラ化した遺体が発見されました。新聞報道等によれば、男性は、昨年12月から生活保護を利用していたものの、同区福祉事務所職員の勧めで辞退届を提出し、同年4月10日付けで保護を廃止されたということです。

 「保護辞退届」については、違法な保護打ち切りを糊塗するものとして、かねてから問題とされてきました。
そして、もともと、
① 保護の受給要件を満たしている被保護者に対して、保護の実施機関の側から辞退を勧めることは、保護受給権の侵害につながり許されないものであり、
② 被保護者が、保護受給が継続できることを認識したうえで、任意かつ真摯に辞退を申し出たといえること、
③ 経済的自立の目処(保護基準を上回る収入が得られる確実な見込み)があり、保護廃止によって急迫した状況に陥ることがないこと、
④ 上記の②、③の要件充足性を確認するため、保護制度上、被保護者に保障された諸権利等を正確に教示し、辞退理由や、保護廃止後の生計維持方法等を聴取したり調査し、被保護者に誤解があれば正しい説明を行うなどの手順を踏むこと
の要件が満たされない保護の辞退を理由とした廃止処分は、無効となるものと解されます。

そして、このような考え方は、広島高等裁判所2006年9月27日判決(賃金と社会保障1432号)、京都地方裁判所2005年4月28日判決(判例時報1897号88頁)、東京都生活保護運用事例集(問8-46)及び2005年5月19日付京都市保健福祉局長通知「保護廃止時における適正な事務手続について(通知)」などにおいても、当然のこととして認められております。
                                  
上記保護廃止決定は、男性に経済的自立の目処がなく、保護廃止によって急迫した状況に陥ることが十分予想される中でなされた点、また、そのような事態を回避するため、保護廃止後の生計維持方法等を聴取したり調査するなどの手順を踏んでいない点で違法であると私たちは考えています。

さらに、保護の受給要件を満たしている被保護者に対して実施機関の側から辞退を勧めたのではないか、男性が保護受給が継続できることを認識したうえで、任意かつ真摯に辞退を申し出たとはいえないのではないか、生活保護制度や男性に保障された諸権利を正確に教示されていないのではないかなどの強い疑念を抱かざるを得ません。

 そこで、私たちは、本年7月15日、緊急声明「北九州市は事実を検証し、責任の所在を明らかにせよ-辞退届により保護を打ちきられた男性の孤独死事件を受けて-」を発表しました。本書面に添付いたしましたので、参考までにご一読いただければ幸甚に存じます。

 上記声明でも述べているとおり、私たちとしては、二度と同様の事件が起こらないよう、今回の孤独死事件について、徹底した原因究明、検証作業を行い、再発防止策を策定することが求められていると考えています。
 そこで、貴委員会に対して、以下の諸点を要望致しますので、ご検討のうえ、ご採用いただきますよう何とぞよろしくお願い致します。

【要望事項】

1 貴委員会における検証作業の対象として、今回の孤独死事件を取り上げ、徹底した原因究明を行ってください。

2 現在、北九州市が保管していると言われている、男性の「日記」を早急に貴委員会に提出するよう、北九州市に対して求めてください。

 (理由)
  報道等によれば、この日記には、「働けないのに働けと言われた」「おにぎり食べたい」など、北九州市の対応の不備を指摘する内容が記載されている模様です。北九州市は、これまでにも公文書の改ざんを疑われる行為をしていることからすれば、この日記についても同様に証拠隠滅行為を行う可能性があり、可及的速やかな「証拠保全」を行うことが真相究明のためには何としても不可欠です。


以 上